03/01/11〜13 愛知県大府市
名古屋で仏恥義理★
2002年の走り納めが兵庫の山なら、2003年の走り初めは名古屋近郊の町であります。今までの人生において名古屋には縁もゆかりもない暮らしをしてきたわたくしですが、川湯温泉のキャンプで知り合った人たちとの新年会が名古屋近郊の大府という町で行われるので、ここは一発カブ夫タンと登場と相成りました。ちなみに大府は「おおぶ」と読むらしい。大阪府に似ているけれど、大阪府にあらず。初めて聞く町名です。
大阪から名古屋、あるいは東京へは国道1号線をひた走ると着くのだけれど、トラックも多いし、大阪車や名古屋車も多いし、何よりも1号線だなんて番号の若い路線をわたくしなんぞが走ってもよいのでしょうか?それに途中にある鈴鹿峠って、急坂らしいですよ?ルート選択に迷いに迷ってしまったので、mapfanさんにルートを決めてもらう。→素直に1号線で行きます。
京都の混雑を避けるため&10時間あれば着くだろうという大雑把な計算の元、朝6時過ぎに自宅を出発。順調に進んで、余裕で京都を通過。市街地を外れた感じの風景を走っていると、なにやら古びた石碑が視界の隅に入った。いつものペースなら、怪しげな物体が遠くに見える→近づきながら確認→気になるようなら止まって見学ということができるのだけれど、流れの速い道路でメーター振り切り法定速度を大っぴらにオーバーしながら走っているので、それもできずにただ通り過ぎてしまうのである。速く走れるようになったのはいいけれど、そういった楽しみを諦めてしまうのは本末転倒じゃないかしらん?ねえ、カブ夫さん。
件の石碑には「逢坂」という文字が見えた気がしたので、恐らくあれが「逢坂の関」だったのだと一人で納得して進みながら、心の中で
これやこの 行くも帰るも別れては ナントカカントカ 逢坂の関 蝉丸です。
と教養をひけらかしてみたりする。一部不明な点があっても、かるた取りには差し支えのない範囲ですから。
逢坂の関を越えたってことは滋賀県に入ったってことで、滋賀県というと当然琵琶湖。カブ夫さんに琵琶湖を拝ませてやりたいと思ってはみるものの、行けども行けどもそれっぽいものなんてありやしねえ。why?滋賀県はほとんどが琵琶湖じゃろ?--どうやら1号線は琵琶湖から流れ出る川の上を渡っていたようで、琵琶湖を堪能したいなら近江大橋あたりを通るべきだったらしい。カブ夫なら通行料20円也。

不安になるくらい空いていた1号線から23号線に入ると、今度は渋滞。やたらと大型トラックが走っている。横を見やれば、大きな煙突の群。これが公害訴訟で有名な四日市か。喉を保護するために、マフラーをぐぐっと鼻の上まで持ち上げて、顔の下半分を覆い隠す。今回のツーリングは、中学校の知識がかなり物を言っている気がする。
カブ夫さん、そのまま23号線を爆走★仏恥義理で夜露死苦!名古屋市街を避けて通っているので大阪と比べるのもあれなんだが、この道、すごく高速っぽい。出口の表示があるのがすごく怪しい。あの車以外が入っちゃいけない感を醸しだしているんだが、ほんとうに走っていてもいいのだろうかと疑問を持っている(後日調査によると、駄目な模様。)と、「大府市」の表示が見えた。やりましたよ。来ましたよ。出口を求めて走りつづけると、今度は「豊明市」の表示。すわ、行き過ぎたか?
不安な気持ちで次の出口で降り、しばらく走っているとまた「大府市」の表示が出たので安心しながら、周りを見やる。さっきの高速っぽさから一転してやや埃っぽい郊外風景だ。これから開発しますよ?夜露死苦!という感じの道。またしても順調に走り、目印から先着組に電話をする。--待つことしばし。彼はビール片手に現れました。まだ12:30なんですけど……。

ちなみにこのプーさんは、この新年会に参加できなかった自転車日本一周中キャンパーが郵パック(勿論着払い)で送り込んだ刺客。帰るときには、変わり果てた姿に改造を施されていた。

という問いに対する答えが具象化されたもの。
1月ですよ?霜も降りるんですよ?脱帽。
という具合で、三重県の県庁所在地津市に入る。もうとっくの昔に大阪府民に成り下がっているのだけれど、どこかの県庁所在地に行くと、必ず地元の県庁所在地と比較してしまう癖がある。とりあえず、津市には勝ってる。
ここら辺で163号線の起点を探すわけなのだが、これが例によってわかりにくい。1回行きすぎる。戻る。戻りすぎる。進む。行きすぎる。
……津市の癖に生意気!癇癪を起こしそうになるが、我慢して探してやっとのことで起点に到達。どんどん進む。どんどん山っぽくなり、路線バス様を追い越すという生意気な行動を取りつつ進んでいくと、道路横の空き地みたいなところにリトルカブが停まっているのを発見。茶銀だけど、うちのカブ夫タンの方がプリティアーですよ。バックミラーには出発したての茶銀カブの姿が見える。どこまで行くんだろう?1月のこんな山で何してるんだろう?
リトルカブvsリトルカブ。
これが妙な緊張感を生むってことに気づいたのは、数分後のことである。土台一緒の車種なので、全力で走っても最高速度は変わらないわけで、お互いメーター振り切りで走っていると、ずぅっと同じ間隔のまま走ることになるんである。これは、なんか嫌だ。しかも、茶銀殿は神戸市のナンバーなので、北摂カブのカブ夫さんとはずぅっと一緒の道を通ることになるのである。追い抜く車はわたしたちが仲良しリトルカブだと思っているに違いない。平行線のまま走ること30分。やっと停まった信号で、茶銀さんはバイクから降りて横道へとバイクを押していく。地元の人?何してんの?
横道に逸れたのも束の間、茶銀さんが戻ってくる。何?何かあるのか?
また平行線のまま走り、上野市に入る。確かツーリング・マップルによると、163号線はかくっと曲がっている筈なんだよな。お利口さんなわたしは、きっちりとその辺を記憶しているのであります。大きめの信号でわたしは直進、茶銀カブさんは右折する。ははーん。忍者屋敷とか見学するおつもりなのですね。ほっとして進むこと5分。はたと気づく。……ごめんなさい、道を間違えました。正しい道を選択したのは茶銀カブさんだったんじゃん。
元の道に戻り、正しい方向へと進む。わたしの往復10分ぶん、茶銀さんは先に進んでいるし、さっきみたいな手に汗握るデッド・ヒート再現せずに帰れるんだから、それはよしとしよう。そう思いながら正しいかくっと曲がる大きめの信号にやってくると……茶銀さんよ、10分ぶん先に進んでなきゃおかしいべ?仲良しリトルカブ・ツーリング再現である。このまま大阪市まで一緒か……と諦め半分で走り続けることしばし、また数少ない信号で停まると、茶銀さんが前にやったのと同じようにバイクから降りて、横道に逸れて、また乗って……ああ、信号で停まりたくないからあんなことしてるのか!赤信号待ちのわたしを後目に茶銀さんは颯爽と去っていく。これで平行線状態は脱出だけど、だけどなあ……。先生!茶銀さんはずるいんです!って言いつけたい気持ちになったりして。
とにもかくにも緊張状態は脱出して、慣れ親しんだ163号線を全力で駆け抜けて、家に着いたときには足ががくがくとなっていたのでありました。そういや、わたし、6時間の内1回も休憩しないで帰って来ちゃったんだった。やれやれ。