03/05/03 熊本県南小国町
Hell spa体験。
さすが南国。それほど寒くなく目が覚めた&やっぱり起床1番手。身支度をしてもまだすることがないので、その辺に散乱した食器などを洗ったりしていると、東京キャンパーの人、神戸キャンパーの人が起きてきた。朝の阿蘇山に行こうと話がまとまり、今日は東京キャンパーとタンデムることにする。カブ夫、昨日全然上んなかったしさ。弱気ですな、わたし。カーブを曲がるときは一緒に体を傾ける。と指導されたので、お尻の掴まるところに掴まって、胸を反らせたまま体を傾けるのだけれど……怖い。しかもこのキャンパーの人は、わざわざ片手を放してみたり、はたまた両手を放してみたりするのである。つーか、そんなふざけたことしてると、ブッコロシマスヨ?今阿蘇山が噴火したら、ヤ(殺)ってやるリスト1位にノミネートする。絶対に。もう、2人乗りはヤンキーのみなさんの専売特許にしてもらいてえです。

出勤前の観光馬などを愛でる。
この馬の雰囲気は場末の演歌歌手といった感じ。
パンチパーマをびっしりあてたみたいな毛並みと人生の辛酸をなめ尽くした風情。
馬と一緒にご満悦写真を撮った後、火口まで行ってみようと有料道路のゲートまで行くと、数台の車が並んでいた。が、ゲートが開くのは8時から。現在7時になるかならないかというところ。わたしたちには明日があるさと諦めてキャンプ場に戻ると、埼玉キャンパー以外が起きだしてごはんを食べていた。しかし、みなさん、朝っぱらから大量に喰ってますね。
今度は入れ替わりで彼らが阿蘇山に向かう。置いていくのも可哀想だから、という理由で起こされた埼玉キャンパーも起き抜けの頭にヘルメットを被って山上に向かったけれど、それもそれでどうかと思いますよ。
残ったわたしたちは火の番&ごはん。神戸キャンパーの人がコーヒーを入れようとして、手を火傷してしまうアクシデントに見舞われる。ずっと冷やしているけど、相当痛そうだ。大丈夫なのかな……。右手を火傷してしまうと、ハンドルを握れずに何も行動できないし、家にも帰れなくなってしまう可能性があるということで、大阪キャンパー2の後ろに乗り病院に行くことになった。痛み止めももらって、次の日にはハンドルが握れるくらいに回復。よかった。
阿蘇山上行き組第2陣が帰って来るのを待ち、本日は 黒川温泉巡り&埼玉キャンパーお薦めの景色のいいところに行くことにする。というか、埼玉キャンパーお薦めの場所へ山菜採り叱りキャンパーの人に誘われるままに行くっていう主体性のない予定なのである。
いつもの如くお先に出て、ガソリンスタンドで給油する。顔の濃い、いかにも他府県の人がイメージする九州男児風の店員さんにどこから来たのか等訊かれる。いっそのこと、黒マジックかなにかで“大阪府”って書き入れとこうかな。毎回、「え?」という顔をされるのが、わたしの羞恥心をちくちくと刺すのです。これからどこに行くのか訊かれたので、「やまなみハイウェイへ」と答えると、何番目の信号を右へって感じに丁寧に道を教えてくれる。サンキュウ、にいさん。
5月三連休の初日ということもあり、道は車でそこそこに混雑。路肩を通ってのろのろとしか進まない車の横をすり抜け、東京ナンバーの原付と挨拶を交わし、黒川温泉と書かれた看板のあるところ付近の広めな路肩にカブ夫を停める。この辺で待っといたら、見逃されることってないよな。
センタースタンドを立てたカブ夫に跨り、ハンドルに頬杖つきつつ、キャンパーの人を待つ。ハーレーの集団が通る。待つ。眠たくなる。ハーレーの集団が通る。待つ。今日も暑い。待つ。ハーレーの集団が通る。待つ。ミラーを凝視する。待つ。キャンパーの人、現る。今日は車が多いから、思ったほど飛ばせず、わたしとの差がそんなに縮まらなかったらしい。
黒川温泉本体は看板からちょっと行ったところにあった。道路は駐車場に入ろうとする車で混雑中だけれど、わたしたちはその横をするっと抜けてさくっと駐車し、温泉巡り用の手形1,200円也を購入する。この入湯手形により黒川温泉の旅館に付随する露天風呂3つに入れるというわけである。旅館がそれぞれ独自のスタンプを作っていて、入湯するとスタンプを押してくれるというスタンプ・ラリー的な意味も持っている。
地図をもらったはいいけれど、なんにも考えていないキャンパーの人&わたし。当て所なくぷらっと歩いていて出くわした神社の柵に、たくさん使用済みの手形がぶら下げてあるのを発見したので、いちばん多いスタンプのところに行こうと決めて必死になって手形をめくる。先達はあらまほしきことなのである。
見れば見るほど、何がいちばん多いのかわからなくなってきました。目立つなーと思えたのは、いこい旅館のスタンプ。しかも“美人湯”とかなんとか書いてありますよ?湯元が一緒なのだから、ここだけが美人湯ということはないとは思うのだが、そこは女子の悲しさかな、わざわざ書かれているとそこだけが突出して美人湯な気になってきます。どうせ湯質がぬるぬるだから肌がすべすべ=美人ってことなんだろうけど……。
なんだかんだ屁理屈&難癖つけつつ、いこい旅館へ行くことにした。女湯の入口から美人湯までは、岩でできた湿った階段を下りていく。恐らくこの露天風呂が外から見えることはないんだろうけど、えらく開放的な脱衣スペースで服を脱ぎ、タオル片手にレッツ★美人湯。あまり広くない岩造りの湯船にガイジンの人2人を含め6人程が入浴中。かけ湯スペースくらいしかない洗い場で、ありがたく石けん類を使用させて頂く。
ほぼ1日に1回は入浴できている筈なのに、近頃のわたし、なんか薄汚れてきてるよにゃー。一昨日なんか、洗面セットに1本入れておいた綿棒で耳掃除したら、あまりのあれさ加減に気絶しそうになったくらいだ。手なんかも薄黒くてかさかさしてきている。人としての最低限のラインは保ちたいもんなんだけど。思いを込めてごしごしするが、汚れ具合に変化なし。--日焼けなのか、この汚れは。
美人湯はかなりぬるめの湯だった。ぬるいのに長く浸かるのが美のコツなのか、その辺の見解はピーコに委ねるとして、階段を上がって立ち湯というのに入る。低めに設えられた屋根から2本の竹が湯船に吊され、さながら体操の平行棒のようである。こんなん見たら、普通に足で奥へ進んで行くのって嫌じゃね?誰もいないことをいいことに、平行竹にぷらーんとぶら下がりながら腕だけで進む。立ち湯なだけに結構深さがある。普通に立っていてもわたしの肩上まで湯があるのだから、“お子様の入浴はご遠慮”頂きたくなるのも納得だよな。
一応次はここの湯、と決めてはいたものの、決定は二転三転覆されて、結局2湯目は黒川温泉入口付近の地獄湯に入ることにする。英語に直すとHell spa!一体どんな地獄絵図が繰り広げられているんだろうか?わくわくする気持ちを抑えることなんてできやしません。しかし、別府の地獄巡りといい、九州の人って絶対に地獄好きよな。
入口の戸を開けると、すぐに脱衣所。やはりえらく開放的で、下手すると入口の戸が開いたら通りから丸見えになってしまうような作りである。

急いで服を脱ぎ、今度はデジカメ片手に地獄撮影。
湯の供給口が熱いのはわかるけれど、注意書きが“地獄に注意!”というのもまたいかしてますよ、Hell, yeah!
湯も熱めで、go to hellですよ。
3湯目には秘湯っぽい名前の“奥の湯”に行こうと考えていたのだが、思ったよりも奥にありそうなので、チーム根性なしのわたしたちには高いハードルであると断念し、すぐ近くにある“のし湯”でお茶を濁してこの黒川温泉巡りを終えることに決めた。変わったところはないけれど、広め、立派めな露天風呂でなかなかな湯である。個人的にはいこい旅館の立ち湯が楽しかった。

雰囲気作りのためだとは思うけれど、うまい具合に頑張れている観光地の例だと思う。多分。
すっかり落ちてしまった日焼け止めを塗り直し、次は埼玉キャンパーお薦めの景色のいいところに向かうのだが、その場所はツーリングマップルにも載っておらず、“人と一緒だと地図見ない”法則により、わたしは場所を把握していない。キャンパーも飲みながら話を聞いていたので、なんとなくわかったようなわからないような面もち。電話して聞いてみて、得た回答といえば「豆腐屋の角を曲がる」的な宝物探し系の回答。行けるのか、わたしらは。
例の如くキャンパーに煽られ走行で宝の在処を探す。恐らくここじゃないかという場所を見つけ、とりあえず突っ込んでみる。なんかそれっぽいかも……。しばらく進むと、ナントカという景色のいいところの名前(結局、行く前も行ってるときもその後も、そこの名前をちゃんと覚えることができなかった。なんでだろう?)が書いてある札が見つかる。この坂上ればそこに着くわけか。キャンパーに先に行ってもらい、1速走行で坂を上ると……。
そこは“ダート”、つまり砂利道であった。
もうこんな道は走らないって決めたのに、またこれですよ。キャンパーの人は「スーパー林道行けたんだし、大丈夫でしょう?」と軽く一言言うのみ。そりゃ、あなたはこんな道が大好きでしょうとも。しかし、ここまで来て引き返すつもりもないので、慎重に進む。わたしの人生ってどうなっちゃうんだろう?石ころごろごろの道にまみれて今後を終えるわけじゃあるまいね?この辺りはわらび採りの地元の人がいるらしく、たまに車とすれ違ったりするのどかな場所であるが、今、ここでダイ・ハード的必死な形相を浮かべているのはわたしだけだろう。あうー。ところで、今見た異様に人が詰め込まれた車は、一体、何だったんだろう?ダイ・ハード的な幻だろうか?

恐らく景色のいいところってのは、あの丘の上じゃなかろうか?
せっかくお風呂に入ったのに、手に汗握る展開で疲労困憊気味のわたしは、カブ夫をキャンパーの人に託して丘の上の偵察に行ってもらう。
ここは静かだし、景色はいいし、風も気持ちいいし、確かにいいところよなー。
ちょっとしてキャンパーの人withカブ夫が丘を駆け下りてきた。やっぱり、景色のいいところとは丘の上とのこと。じゃあ、カブ夫とキャンパーのバイクをここに置いて、徒より詣でようじゃありませんか。そんなわたしの提案をキャンパーの人は一蹴し、キャンパーのバイクの後ろに乗らなければならないという不測の事態発生です。つーか、あなたのバイクは1人乗りで、後ろに乗れるような設備ないじゃないですか。巻き込まれないように脚を開いて乗れって、そんな恐ろしいことできないですよ。
結局、した。
上半身はキャンパーにしがみつき、ヘルメットをがんがん背中に当てながら丘を上り、頂上に着く。頂上はさらに絶景だけれど、わたしは絶命しそうです。アノラックを脱ぎ、Tシャツ姿で草に寝転ぶ。ねいさん、大分嫌な汗をかいたけれども、わたしは元気です。
自分たちが黙ると、風の音、鳥の声、そして遠くの道路を走るハーレーの微かな音しか聞こえないという静かな場所、かつ360°視界が開ける場所って、そう滅多にあるもんじゃない。
大観峰にまだ行ったことのないわたしは、何をどうしたらお釈迦様に見えるのかわからないので、キャンパーの人に説明してもらいつつ目をこらす。考えてみれば、観光名所の大観峰より静かな場所で、同じような角度で阿蘇五岳を寝転がりながら見られるこの場所って、かなりいい場所だ。教えてくれた埼玉キャンパーに感謝せねば。
ゆっくりと寝転んで落ち着いた後は、またこの丘を下らなければならない。「自力で走るから、乗るのはやだ」という主張も空しく、ヘルメットをがんがんがんと丘を下る。丘を下りた後はカブ夫に乗り換え、煽られ走行をしながらやまなみハイウェイを下る。やっぱりわたしの尻にぴったりフィットなのは、カブ夫さんのシートです。心底そう思うです。浮気はしませんです。
他のキャンパーの人たちが内牧温泉の阿蘇の湯に入っているとのメールをもらったので、キャンパーとそこに向かっていると、目の前から見たことのある原付オフ車がやってきた。一緒にうどん攻めをした原付キャンパーの人登場である。内緒でキャンパーの人たちを驚かせようと登場するも、あっさりと見つけられ、奇襲失敗の原付キャンパー。情報が筒抜けだったので致し方あるまい。
そんな彼や、今日到着の和歌山キャンパーの人、神奈川キャンパーの人、初対面キャンパーの人を含め12人の馬刺を囲む夜が更ける中、とある習慣により人生初のキャンパー・ネームなるものを付けられる羽目になるが、それは一生胸の内にしまっておこうと思う。ねいさん、電話してきても絶対口は割りませんから。