03/05/02 熊本県阿蘇町

やまなみでハイウェイ。

床暖房が時々妙に暑く感じられてちょっと寝汗をかいたけれど、他は概ね良好。やっぱりわたしはいつでもどこでも眠れるタイプの人間らしい。ほの明るい部屋の中、布団に腹這いになってツーリングマップルをめくり、今日のルートを考える。阿蘇のキャンプ場には15時過ぎくらいに入るとして、その前はどうすっかなー。あらかた考えがまとまった頃、隣の布団で寝ていた大阪キャンパーの人がもぞもぞと起きだしたので、お礼&計画を話してここからは別行動をとる。サンキュウ、大阪キャンパー。一緒にたらたら走ってくれてありがとう。半日後にまた会おう。

仮眠室から出ると、廊下の椅子に坐っている体の大きめなにいさんに「バイクですか?」と声を掛けられる。イエース、アイ・アム・ア・バイカー。にいさんは、いわゆるひとつの“ハーレー乗り”であった。

「原付っすか」
イエース、カブ夫・イズ・ゲンツーキ。
「それで阿蘇まで行くんすか」
イエッス、イエース。キャンプ・ダ・ホイ。
「やまなみハイウェイも通るんすか」
イエース、オフ・コース。ビコーズ、ツーリングマップルに「九州ツーリングのハイライト」って載ってマシタ。
「チャレンジャーっすね」
リアリィ?やばい道なんすか?

NO FEARカブ夫号に新たな難関が立ちはだかるんだろうか。にいさんが言うには、阿蘇にてハーレーのミーティングとやらがあるので、この連休はドキッ★ハーレーだらけのゴールデン・ウィークになるだろうとのこと。最近のハーレーの人々は少々マナーが芳しくなくなってきているので、充分に注意されたしと忠告を受ける。

ハーレーっていうだけでドドドドドーという怖めなイメージがあるのに、そのハーレーの人が注意するようにっていうような現状は一体どんなことになっているんだろう。口にラッキー・ストライクをくわえ、サングラス装着(not浜省タイプのワイルドさ満点なやつ)、腕には入れ墨必須で、素肌に皮のベスト着ているような人らが集団で爆音響かせながら、born to be wildになっているような状況なんだろうか。やべえね、カブ夫さん。もし囲まれたら気狂いのふりしてやり過ごそう。

気を奮い立たせるために朝風呂に入り、フロントで預かってもらった荷物をくくりつけ直して、8:30、ひとまず別府市街に向けて出発。ほんとは北上するつもりなのだが、わたしにはやらなければならないことがあるのだ。それというのは、UFJ銀行を探すこと。実は家賃を振り込まずに出てきてしまったため、下手すると、帰ったら家がない状態に陥りかねない危険を孕みつつここまで来てしまったのである。振込は他の銀行でもできるのだが、肝心の口座番号を控え忘れてきてしまったため、どうしてもUFJじゃないと駄目なんである。

別府といえば、有数の観光地。銀行のATMくらい駅にあるじゃろ?気軽な気持ちで別府駅近辺に向かったはいいけれど……都市銀行なんてありゃしません。こうなったら積極的に公権力を利用せねばなるまい。駅前の交番に入ってUFJ銀行の場所を訊くことにする。

「いや、大分に行ってもないと思うねえ」
なんですと?
「えぇーと、じゃあ、駅前高等温泉ってどこにありますか?」
「ああ、それはね……」
せっかく交番に来て収穫なしというのは寂しかったので、意味もなく温泉の位置なんかを訊いてみる。

しかし、あれだね。こういう状況に陥ってしまったとき、自分が如何に大阪生活に慣れてしまっているかを感じさせられるですよ。都市銀行はその辺にいっぱいあるし、コンビニには勿論ATM付随でローソンやファミマだらけ、ガソリンスタンドだって24時間営業がいっぱいある。異様なまでに便利なのだ。実家近辺を考えてみれば、都市銀行なんてあるわけないし、近所にあるコンビニはスパーでATMなんて当然ついちゃいないし、ガソリンスタンドだって……これは24時間やってるところがあるか。とにもかくにも、他地域に大阪市を求めてしまうその態度はよろしくないよな。リメンバー・田舎の精神を忘れずに、だ。

仕方ないので、家賃の件は忘れちゃいけないけど忘れることにした。大家さん、帰ったらすぐ振込みますから、どうか部屋を差し押さえないでください。差し押さえる前には保証人のねいさんに電話をして、ねいさんから家賃を取り立てておいてください。人の保証人になっちゃいけないということのいい勉強になったと思えば、アネもきっと感謝する筈ですから。しない?

九州なのに四国銀行に寄り、お金を下ろす。前に並んでいる九州女子が携帯で
「なんね?いくら下ろすとね?」
と九州弁で話しているのを聞き、プチ感動であります。思えば遠くに来たもんですよ。九州の人、ほんとに九州弁で話しているんだもんな。

ガソリンを入れ、今度こそ北上する。10号は幹線道路なので、やや車の流れは速いが、少し経って山の方に逸れるとかなりのどかな風景になる。今日もまた天気がよくて、暖かい。ぽかぽかと背中に日差しが当たり、車も少なく、しかもカブ夫さんが調子よく走っていると、段々眠たくなってくる。

カブに乗るようになってから、できるだけいろいろな事故の話を聞くようにしている。そんな事故話の中で、どうしても信じられない話の一つに「バイクの居眠り運転で事故」というのがある。こんな神経使いながら、しかもシートに跨って走っているっていうのに、なんで居眠り運転なんかができるですか?と思っていたけど、今ならその気持ちもわかる。人もいないし、車も通らないんだから、路肩にカブ夫さんを停めて横になっちゃおうかなー。でも、それをやると、また一つ違うところに行っちゃいそうだよな。

道端で測量をしている人を見かけたので、すんでのところで現在のステージに留まることができた。たかたかっと山を下り、九州最初の目的地、宇佐神宮に到着する。

日本史での宇佐八幡神託事件というのが記憶に残っていたので、訪ねてみようと思った次第。ご神託で皇位が決まったり覆ったりするってすごいよな。道鏡が嘘ついていたってことになってるけど、和気清麻呂のご神託も嘘かもしれないじゃん。だって、ご神託ですよ?いわば電波を受信しちゃったってことじゃないですか。日本史って悠長ですな。

ついでに言うと、宇佐神宮は全国の八幡宮の総本宮であるとか。うちは一応神道らしいので、そりゃ八幡様の偉い人を拝んでおかねばなるまい。

宇佐神宮の駐車場は有料。前の石切神社みたいに注意されるのも嫌なので、目の前のローソンの隅っこにカブ夫を駐車させてもらう。後でちゃんと買い物しますから。すみませんが、ひとつそういうことで。

宇佐入口ひなびた土産物屋の間を通り、鳥居をくぐる。
うーん……。あんまり、かなあ……。
なんか立て看板が多い。
雰囲気は普通の日本庭園って感じ。
歩きながらアネに
“八幡様の総本山に来たなり”
とメールを送ると、速攻で返事が返ってきた。

今日は休みなのかしらん?試しに電話してみると、すぐに出た。

「今さ、宇佐神宮にいるんだよね」
「宇佐神宮?」
「うん、海を渡って、更に渡って、今、九州」
「きゅうしゅうっ?」

ねいさんの裏返った声に、妹は生きていてよかったと、今この瞬間ひしひしと感じております。隠し球を用意しつつ、毎日をサプライズ・パーティしながら生きていけたら最高です。

参道を更に歩き、本殿を見るために500円也を納めて「神様の更に近くへ」寄る。色布を垂らされた門をくぐる前にさくっとお払いをしてもらう。うーん、なんかベルトコンベアに載せられた缶詰のような気持ちになってしまう。ちょっとありがたみが薄いというか、機械的というか……。気を取り直して本殿に近づく。カモン!ご神託。

電波受信失敗。何事も起こりませんでした。ちょっぴりショボンです。スーパー林道で紛失した妙見山のお守りの代わりの交通安全お守りを買おうとお守りコーナーを覗くのだけれど、これがまた、雑然とお守りが並んでいてありがたみ50%減である。交通安全のお守りにしてもいろいろと種類があるのはいいが、統一性がないし、オリジナリティもない感じ。もう少しいろんな電波を放ってもいいと思うですよ、宇佐神宮さん。神社なんだから、思い切っていっちゃってみればいいのに。全国の八幡様たちもお嘆きになられていることと思います。

土産物屋の客引きをかわして、ローソンに戻る。ローソンではちょうどカレー粉が30%引きになっていたので、意味なくカレー粉を購入する。何に使うんだろう。

せっかくだから耶馬渓を見ながら阿蘇に向かおうか迷っていたのだけれど、あまり遠回りになって遅くなるのも嫌なので、耶馬渓は断念。わたしにしては珍しい選択である。ぐっと道を下り、やまなみハイウェイと平行して走る県道を通ることにする。ここには九酔峡という絶景ポイントがあるとのこと。ぐぐっと山道を曲がりながら上る。

全然上らないのはいつものこと。2速常用で上っていく横を、どんどん車が追い抜いて通っていく。ちょっと怖いな。抜くのはいいけれど、もう少し間隔を持って抜いていってくださいよ。引っかけたりしたら、必要以上に痛がっていろいろと難癖付けますからね。そこのところ、心して抜いていってくださいよ。駐車場に入る車を避けて進む。絶景ぶりも見られず終いである。道の選択を誤ったかもしれない。

車の波をかき分け、不安になるような細い道に入る。畑と林の間の道。敷地の中にお墓のある民家を見る。まさに揺りかごから墓場までってやつじゃなかろうか。お彼岸もお盆も関係なくお墓参りのできる家に住んでいたら、とりあえず、お墓にまつわる怖い話はそれほど怖いとは思わなくなりそうだ。

やーまーなーみー 不安が解消される看板を発見。
これからやまなみ。
九州ツーリングのハイライトしちゃいますよ。ハイライト。
いざ、行かん。初めてのハイウェイ。
まさにHead out on the highway。Born to be wildするです。

ハーレーにいさんの忠告通り、やまなみハイウェイではたくさんのハーレーが走っている。ふと疑問に思ったんだけど、ハーレーの人って単独で走ってることって少なかねえですか?やっぱり、ハーレーの人ってハーレーだからこそって部分があるから、お互い通じ合っちゃったりして共に行動するんだろうか。あの音とか、こだわりありそうだもんなー。

続く道 たくさんのバイクや車に抜かれつつ、ハイライトを楽しんでみる。
いや、いいよ、九州。
せっかくだから、九州も日本から独立するといいと思う。
道がずぅっと延びていて、その先に青い山が見える風景なんて、もうサイコー。
箱が重くて速度が遅かろうが、そんなのはどうでもいい感じになる。ちょっとだけ。

2速ほぼ全開で、わたしなりのツーリングを満喫していると、見覚えのある荷物満載の大きいバイクが左手を挙げながら追い抜いていく。大阪キャンパーの人のバイクだ。わたしも左手をぶんぶん振っておく。あっという間に見えなくなっちゃったけど。(あとで「やまなみハイウェイを走るリトルカブには鬼気迫るものがあった」とコメントされる。鬼気迫るって。失礼な。普通に走ってました。)

コロコロ 北海道に行かなければ見られないと思っていた干し草でできた“コロコロ”(正式名称は寡聞にして不明)。
これがちらっと見えたとき、思わず興奮してその場でブレーキをかけそうになってしまった。

大人なのでそれはぐっと堪えて、コロコロ間近の空き地にカブ夫を止め、がふがふ言いながら丘を駈けのぼって近寄る。……至福。これを見られただけで、九州観光8割方に悔いはない。

ハイライトしちゃったし、後はキャンプ場を目指すのみ。キープ・レフトの原付走りをしていると、右のミラーに黄色っぽいバイクが映る。大概のバイクは映ったらすぐに追い抜いていくのだけれど、この黄色の人はなかなか追い抜いていこうとはしない。何なんだろう?こんな飛ばせる道を30km/h行くか行かないかの速度で走っていて楽しいんだろうか?それとも何ですか、カツアゲとかする気ですか?ジャンプしても小銭の音なんかしませんよ、わたしは。

少しずつ、少しずつ黄色が近づいてきて、やっと追い抜かれてその疑問は氷解。黄色の人も原付だったのだ。黄色ナンバーのスクーター2台ツーリングである。しかも、神戸ナンバーと尾道ナンバー。下道をここまで走ってきたのか。すげえね。よくやるよなー。

黄色ナンバーとはいえ、スクーターもそんなに速くはない。まとまって一緒に走るような形になるのは、リトル引きこもりッ子のわたしには少々プレッシャーなので、路肩に止まって彼らが遠くに行くまでやり過ごすことにする。あなたがたはどんどん進んでください。

スクーターが見えなくなってから、再出発。また下り道に入ったので、くいっくいっと曲がってやまなみハイウェイを下りる。時折対向車線に思いっきりはみ出ているタイヤの跡があるのが、なんとも恐ろしげである。走り屋さんが夜な夜な出現するのかな、この道。

キャンプ場は阿蘇山に上る道の途中にある、阿蘇いこいの村というところ。看板が出ていたので、目標15時迷わずに着けた。入口からキャンプスペースにカブ夫に乗ったまま進入し、ぐるっと1周見て回るのだけれど、テントを建てているのはハーレーの人ばかりで見知った顔が一人もいない。まだ来てないのかなー。やまなみハイウェイでわたしを抜かしていった大阪キャンパーの人は、一体、どこに行っちゃったんだろう?

2周回っても見つからなかったので、一旦外に出ることにした。単独で来ているんなら適当に目立たぬ場所にテントを建てるのだけれど、他に人も集まるし、変な場所にテント建てたら悪いし……。

近くのフレンドリー牧場とやらでソフトクリームを食べながら、近くにいるであろうキャンパーの人たちにメールを送る。どこにいるんですか、あなたがたは。もしかして、集まるとか言ってわたしのこと騙してねえですか?ネタ?どっきりですか?疑心暗鬼してる最中に大阪キャンパーの人から電話が来る。

「誰もいなくて、わたし、寂しい」
と訴えてみる。
彼は大観峰で他のキャンパーの人と合流したので、今、温泉に入っているそうだ。

天気もいいから、阿蘇山の火口でも見てきたら?と勧められたので、素直にそれに従う。キャンプ場の前を素通りし、“阿蘇山上”と書かれた看板を頼りに進む。というか、道は至極単純。ただ、例によって勾配が角度を増してきて、カブ夫の力が足りなくなってくるだけ。また、20km/hも出ない状態になってきた。極力邪魔にならないように道の左端、左端へと寄っていき、路肩から落ちそうになったりする。なんで落ちないようにしといてくんないのかな。

草草また草っぱら いや、阿蘇もいいです。阿蘇も。

草千里に着く。ここの駐車場に停めるとお金を取られるとのことなので、路肩にカブ夫を駐車する。なるほど、バイクの人はみんなそのように止めている。何軒か並んだレストハウスとやらの売店で馬の串焼きを買い、草千里に下りる。観光用の馬を眺めながら食べる馬串焼。喰ってやったぞ、という残虐な楽しみ気分に浸り、次は火口を目指すことにする。

火口へは100円也の有料道路、もしくはロープウェイで上がることになる。勿論、わたしは有料道路を通るのだけれど、また更なる勾配にカブ夫さんはへたり気味。ラストスパートをかける部分では全く上がらないような状態になってしまったので、1速+足こぎでなんとか山上駐車場に入る。1日ひとこぎである。

駐車場は右手がバイク用、左手が車用と分かれていた。バイクとバイクの間に止めて視線をずらすと、あのやまなみハイウェイで見たスクーター2台がある。観光地だし、大体行くところは一緒だよな。

緑の火口 人生初火口見学。
綺麗な緑色をした水が湛えられている。
出不精な性格故、カブ夫で初めて経験が山ほど増えていくことだ。

ぷらぷらと見学を終えカブ夫の元に戻ると、隣に新たに停められた大きなハーレーに人だかりができていた。そういや、草千里まで上っていく途中に抜かされたっけ。やたら横幅が広くて、大きな音で音楽鳴らしていたやつ。横でヘルメットを被りながら聞いたところによると、このハーレー、570万円かかっているそうである。ごひゃくななじゅうまん。そんな大金見たことねえです。カブ夫さんが新車で大体20万とすると、28台くらい買えるバイクである。わたしが今死ぬと保険金300万円。つまり、わたし2人分のバイクなのである。趣味世界ってのは恐ろしい領域に達してしまうもんなんですね。

そんな高級車の横に止めていて何か起こっては大変だ。死んで詫びても足りないのは明らかだ。そそくさと出発する。今度は下りなのですいすい進んでいくし、夕焼けも綺麗でいい気分。いい気分ついでに見晴らしのいい無料駐車スペースで写真を撮っていると、車のにいさんに声をかけられた。

「このナンバーはどこね?」
「大阪です」
「大阪かぁ。これは50cc?」
「そうです」

四国を経由して下道を走ってきたことなどを話す。車のにいさんは下から上がってくるときにわたしを抜かし、この大きな箱を載せたカブ夫がすごく気になっていたとのこと。

「日本一周してるとね?」
「いや、普通のゴールデン・ウィークの観光です」
やっぱりこの箱、大袈裟にでかすぎたかな。中身はほとんどがテントで埋まってるんだけどな。
「好きやからできるんやねえ」

にいさんは感心したように言うけれど、実際、どうなんだろう?しょうもないことやカブ夫さんのことは好きなんだけど、こういった戸外でなんかするってことは元々そんな好きなんじゃないんだよな。バイクとか車とかの乗り物なんてさっぱりだし、時刻表にも興味がない。元来、家でビデオ見たり、本読んだり、ネットしたりしてる方が性に合ってるわけで。

殊更に否定するようなものでもないので、「いや、アホなんで」くらいの返事を返して、お互いよい連休をと別れ、またキャンプ場に向かう。

キャンプ場に着くと、今度はちゃんといた。いました。大阪キャンパー1(一緒に行動した人)、大阪キャンパー2、静岡キャンパー、埼玉キャンパーがテントを建てている最中である。わたしも一緒になってテントを建てていると、神戸キャンパーが遅れて到着。彼女がテントを建て終わるのを待って買出しに行くことになったのだけれど、今までの行程の中、散々人から遅れて走ってきたわたしとしては少々気後れしてしまう。神戸キャンパー以外、みんな大型のバイクに乗ってるし、ちょこっとの買い物行くにもひとをたくさん待たせたりするのって、嫌よな。団体行動では人を待たせちゃいかんのです。

大阪キャンパー1の後ろに乗せてもらうことにする。タンデムですよ、タンデム。「どこ掴んだらいいの?」と問うと、タンクの辺りを掴めとのお答え。一所懸命手を伸ばしてみたら間違えて太ももを掴んでしまって、「そこちゃう」と叱られる。わ…わたしだって、掴んだ瞬間違うって思いました。

買出しのスーパーはキャンプ場から程近く、道も適度に混雑していたため、カブ夫出動でもそんなに遅れは取らない感じであった。むしろ、買出しにより荷物が増えるので、買出し部長カブ夫さんがいた方がいい感じである。苦労してバイクに荷物を振り分け、帰りは大阪キャンパー2の後ろに乗せてもらう。おかあさん、こうして娘はほいほい人の尻に乗る女になってしまいました。今度はバイクのお尻の後ろのところに掴まる場所があるので、それを掴んで行くのだけれど、なんか胸をそらせた状態で後ろにいるのって不安。

薄く暮れたキャンプ場に無事戻る。日がとっぷり沈んでも、次から次へとハーレーの人がキャンプ場にやって来る。ドドドドド……という独特の音は、バイクに詳しくないわたしでもハーレーだとわかるのだけれど、他のバイクの音はわからない。音だけを聞いて、「あれ、○○エンジンの音じゃない?」「HONDA車や」とか「××が○○で△△」(もう何を言ってるかわからない状態)とかで盛り上がって、そのバイクが後からやってきた東京キャンパーの人であるとわかっちゃうあなたがたの世界には踏み込めないです。わからねえ。

更に、四国で「やっぱり阿蘇には行かない」と言っていた、山菜採り叱りキャンパーの人もやってきた。みなさん、夜道は危険なので走らない方がいいと思うです。