03/05/01 四万十川源流点・四国カルスト&別府

ゴー・ウェスト・アゲイン。

ねいさん、山間の河原でのキャンプは「これは修行なんだ」と思うくらい寒かったことを報告します。というか、四国でキャンプし始めてから寒くないと思って起きたことってないです。四国ってのは温暖な気候なわけじゃないんですかね?

竹のこトルナ竹のこトルナ。
こう言いたい地主さんの気持ちはよくわかる。
だけど取りたい人の気持ちもよくわかる、複雑な乙女心ってやつである。
堪えきれずに採ってしまう人が結構いるらしく、筍の皮がその辺に散乱していた。

寒くて目が覚めた、というか眠れなかったというのもあるけれど、何よりもあの乗り物in乗り物の人たちのバイクの音がうるさかった。なんで朝っぱらから河原を走り回るんだろう?誰もいないわけじゃなくて、ここにテントがあって人が寝てるのわかってるわけじゃん。自分は棚に上げて、バイク3ない運動をここで推進したいくらいの気持ちになる。

昨日とは打って変わっての快晴の下、人より先にテントを撤収し、カブ夫に荷物をくくりつける。今日は四国の目標残り2/5、四万十川の源流点と四国カルストに行く予定。四万十川本体を見たんだか見ないんだかわかっていない状態だけれど、要は大元を見ればそれでいいわけなんですよ。なんて言うのかな、木を見て森を見ずってやつ?それじゃ駄目か。

ちょっと具合が悪いという大阪キャンパーの回復を待ち(後から聞いたら二日酔いだった)、お昼くらいにキャンプ場を撤収。荷物満載で源流点に向かう。いつもだったら、遅いわたしが「じゃ、お先に」と出発するのだけれど、今回は名古屋男子の大型が先頭で、次に女子の中型、原付カブ夫、大型の大阪キャンパーというまさにマス・ツーリングとやらである。常に右のミラーに人が映ってるって……ちょっと嫌よなあ。(今リンク先を調べていてわかったのだが、それがマス・ツーリングの走り方らしい。わたしは交互になるなんてのは一切無視で、いつもキープ・レフトの“原付走り”で走ってましたよ。だって、中央線の方走ったら危ないじゃん)

のどかな風景。きつい勾配 また山道に入り勾配がきつくなると、荷物の重さも加わり2速でもなかなか上らなくなる。
だけど、ミラーには相変わらず大型バイクが映っているわけで。
実際はすいすい山道を上れるだけの実力の持ち主なのに、前の遅いバイクにペースを合わせて走るのって、嫌になったりしないんだろうか?
もしわたしが大阪キャンパーなら、「ギギギ……カブ夫もろともヒキコロス」くらいのことを考えながら走る。

轢き殺しを実行されると困ったことになるので、(心の中で)ミラー越しに謝りながら源流点へ続く道の入口に着く。この矢筈トンネルをそのまま行くと、四国カルストにも行くことができる。ぱっと見は舗装されている道が続いているようなのだが、ツーリングマップルには「四万十川源流の探索を楽しむ 湧き水をぜひ飲んでおきたい オフロードバイクで」とわざわざ書いてあるくらいだから、舗装された道が最後まで続いているとは思えない。いつの間にかオフ車のカテゴリーに加えられてしまったカブ夫さんと名古屋組2台はいいとしても、大阪キャンパーの人は野営荷物満載のプラモデルみたいなバイクである。ガセネタを流すのは楽しいけれど、ガセネタに泣かされること程嫌なことはない。林道大好き名古屋男子が人柱となり、偵察に行くことになった。

戻ってきた彼曰く「途中水たまりがあって、そこからダートになっているけれど、多分大丈夫」とのこと。信じましたからね?3人に先に行ってもらい、後を追って舗装された道を走って程なくすると、なるほど、水たまりが出現した。しかも、結構でかい。避けて通ることができないくらい、でかい&深そう。足を上げて突っ込む。もう林道は走らない、2速全開はしないと心に誓ったのに、誓いはすぐに破られてしまうのか……。しかも、泥んこ。

水たまりが終わって、次は“ダート”。下り坂な上、この石ころの大きさは……スーパー林道の荒れているところ以上の大きさである。何が「多分、大丈夫」なんですか?だかだかだか進んで行った先では、大阪キャンパーの人が立ち往生状態になっていた。そりゃ、なりますよ。先に行けと促されたので先に進んでしまったけれど、彼は大丈夫なのだろうか?

林道again 時折舗装されている道を走り、また入口に辿り着く。
今まで走ってきた道は、ずっと舗装されて下に続いていて、“源流点入口”と書かれた道は石ころの上り道になっている。

入口方面からちょうどライダーの人が下りてきたので話を聞いてみると、普通はその舗装された下の道から上がってくるものらしい。上のがたがた道を下りてくるのは「かなり頭悪いですよ」的行為だとか。ソウナノカー。頭悪イデスカ、ワタシタチ。

しばらくして、すっきりとした姿で大阪キャンパーの人が名古屋男子を伴って下りてきた。荷物は道端に捨ててきたとのこと。真の漢の姿を見た気が致します。

源流入りvolvic バイクを停めたところから源流点までは歩いて15〜20分程のところ。
それぞれのボトルに源流を詰め、森林浴を楽しみます。
ほんとうの源流点はまだまだ奥にありそうなのだが、そこまで行ったら危険なのでここで我慢しろよな的なお茶濁し感が少々漂っている。

また砂利道を下り、大阪キャンパーの荷物を名古屋男子が回収しに行くのを待ちながら見ていても、やはり上の石ごろごろ道から下りてくる人は皆無である。みんな下の舗装道路から上がってきている。そういや、わたしのツーリングマップルは最新版な筈なんだけどな。

大阪キャンパーの荷物を積み直し、再出発。名古屋組は再度スーパー林道にアタックするため四国残留、わたしと大阪キャンパーは九州に向かうため八幡浜に向かうので、2人とはここでさよならだ。また今度、名古屋組。思い起こせば川湯のときに名古屋女子に声をかけられなければ、こんなことってしていなかったんだよな。ちょっぴりセンチメンタル気分を盛り上げてみる。

何故狸が? 舗装道路を下り、リザーブぎりぎりでガソリンを補給して四国カルストに向かう途中、巨大な狸の像を見て急ブレーキをかける。
与作よ、何がしたいのですか?
わけわからんですよ、全くもって。

こんなところをよっこらしょと 山道を上がるにつれ、箱積みカブ夫は力を失くしていく。
頂上を間近に控える頃には2速じゃ無理、でも1速じゃ力ありすぎ、という感じになってくる。

ずっと1速にしていたら壊れちゃいそうな気がする。つーか、1速で上がるくらいなら、ニュートラルにして押して歩いた方が速いかも。あまり進まない内に日は傾いていくし、いらいらも募ってくる。進まねえ。こんな進みたいのに進めないこんな世の中はポイズンですよねえ?反町さん。暗くなっちゃったら、こんな山道下りるの嫌ですよ。絶対、街灯がなくて真っ暗になっちゃうに決まってるし。暗い中下りるくらいなら、ここで暮らす。もう心に決めちゃいました。

上り道も一段落か?と思う場所に差し掛かり、ようやくカブ夫が普段通りに近い状態で動き出す。荷物が重たくて辛いのもわかるけど、わたしのためだ、もうちょっとみちみち働いてください。調子よく走って撮影ポイントっぽい場所に着くと、とうにわたしを抜いていった大阪キャンパーの人が一服をしていた。もしかして、待っていてくださいました?

「山道全然上がんないからさ、嫌になっちゃった」
というわたしの愚痴にも
「馬力ないし、そりゃ仕方ないで」
と笑顔で応えてくださる大阪キャンパー様は、相当大人ですね。散々待たされているんですよ?わたしなら、「そんな腐れた乗り物は今すぐ捨てろ。ナウ」くらいのことは言いますです。

ここからは下り坂に入るみたいだし、カブ夫も元の元気を取り戻したようなので、今まで程のご迷惑をおかけすることもないだろう。いつものようにお先を急がせてもらう。

牛が!風車が!車が! 苦労して上った後に広がる景色。
やっぱり四国はいいよにゃー。
ちなみにこの辺でもキャンプができるようだけれど、あまりにも風が強いし寒すぎるので、それは断念する。

木立の中の下り道を、きゅっきゅっきゅっと進んでいく。カーブミラーは常に凝視状態。なるべく速く走って大阪キャンパーの人との差を広げておかないと、抜かれた後のロス時間が長くなってしまう。そう思うと、気が急いてくる。頭の中に浮かんでくることといえば、1.対向車のトラックに気づくのが遅れ、下敷きになるわたし、2.対向車に気づくのが遅れ、車線外にダイブしちゃうわたし、3.対向車に気づくのが遅れ、山賊に拉致られちゃうわたし……気づくのが遅れなきゃいいのか。気をつけよう。できるだけ。

カルストの山から下り、また大阪キャンパーの人に抜かれる。曲がり角など迷いポイントに差し掛かると、キャンパーの人がそこに立っていて正しい道を指し示してくれるので、それに従って先に進を繰り返す。人と一緒だと、地図開かずに済んじゃうのな。助手席感覚でなにも考えずに進んで、また抜かれる。今度はそれ程ペースを上げずに前を走ってくれる模様。わたしだって頑張っちゃいますよとばかりに、カーブをぐぐっと曲がり、カブ夫さんのチャーム・ポイントであるところのレッグ・シールドをがりがりっと熱い走りを見せつける。いや、熱いっていうか、それは危なくね?ひやっとしましたよ。

18:50。八幡浜市内の入口に到着。ここでトイレ休憩を取り、フェリーの時間の相談をする。うまくいけば20:30のフェリーに乗れるのだが、それもこれもカブ夫&わたしの頑張り次第。キャンパーの人にはそのまま一服していてもらって、また先に進む。これからは山道でなく街中に入るので、今までみたいに気ままに走れなくなる代わりに街灯が出てくる。これなら一人でも進める。

警察署の前も50km/hで走り、愛媛カーの横をすり抜け、進んで進んで「絶対にこっちに行っちゃうと思うんだよねー」と断言した大洲バイパスに突っ込みかけて、引き返す。看板に大洲バイパス・197号線と併記して書いてあったら、その2つの入口がそっちにあると思うじゃないですか。バイパスを通過した後に197号線に入るというんであれば、そのように明記していただきたいと声を大にして言いたい。

間違いはあったものの、八幡浜のフェリー乗り場には19:40に到着することができた。20:30別府行きのチケットを買い、あとは乗り込み時間を待つばかりである。がらんと閑散としたフェリー乗り場には、煙草を燻らすおじさん数名と、やたらと「フォック!フォック!」と言いまくるスコットランド人(推定)カップルが1組いるばかり。これから船に乗るんだ、という高揚感を全身で表しているような人は誰一人としていない。これが平日夜の近距離フェリー乗り場の現実ってやつなのかなあ。みんな、船こそ日常なんだろうか。辺りを眺めながらコーヒーを飲んでいると、携帯が鳴る。実家からである。怒られるかな、あのメモのこと。

「おかあさんだけど。まだ帰ってないの?」
「え?どこから?」
とぼける必要ってあるんでしょうか?
「仕事から。今日、仕事でしょう?」
メモ、見てないんでしょうか?
「うん……。荷物、見てないの?」
「まだ届いてないんだけど」
「ああ、もしかしたら1日じゃ届かないかもって言ってたから、明日辺り着くんじゃないかな、きっと」
「そう?もう遅いんだから、早く帰りなさいよ」
「はい」

今から急いでも今日中に家に帰ることは不可能なんですけどね、おかあさんや。

フェリー二等船室は、わたしたち以外にはパジャマ姿の家族、お遍路さんグループ、父子1組という少なめ構成。そういえば、四国でお遍路さんって見なかったよな。通ったルートが悪かったのだろうか。できることなら、「砂の器」みたいなお遍路さん見たかったよなあ……。そこのパジャマ姿の子ども、人の枕元で飛び跳ねるな。なまはげ風に追い回すぞ。泣く子はいねが……。

と考えている内に眠ってしまい、フェリーが別府に着いたとキャンパーの人に起こしてもらう。すみません、何から何まで。

眠たい頭で初九州上陸。海を渡る以外は自力で来てしまいました。時間はすでに23時過ぎ。もっと遅い便で着いたら、その辺で寝袋ビバークという話も出ていた。それはそれで心躍る非日常的イベントではあるけれど、ひとまず健康ランドを探すことにする。地図上ではフェリー乗り場からほど近く、わかりやすい位置にあるんだけれど……見つかりません。ある程度進んだところで、キャンパーの人に止まって地図を見せるように指示される。

「フェリー乗り場から5kmも離れていないところにあるやろ?で、今、○○って看板が出てるから、これは来すぎてるよな」

わたし、地図の見方を初めて知った気がします。地図の上にある○cmで○kmって表示は伊達じゃないんだ。それとメーターの距離を照らし合わせると、自分が行きすぎてるかどうかってのもわかるんだ。すげえ、感動です。今までだと、行きすぎても目印になる看板や建物が出てくるまで引き返すことってなかったですよ。

燦然と輝くかっぱ キャンパーの人に先に行ってもらい、後をついて健康ランドを探す。
--あった。ありました。
かっぱの湯。
キャンパーの人がいなければ、小浜キャンプ場にも別府港にもかっぱの湯にもたどり着けませんでしたよ。
しばらくは足を向けて寝ないことにしますですよ。

かっぱの湯の仮眠室利用代金は2,000円。これでお風呂もサウナも仮眠室も使い放題。仮眠室は大体20人前後が布団を敷けるようになっていて、すでに7割方埋まっている感じである。お風呂に入り、久々の布団に潜り込んで就寝。床暖房がちょっと暑いけれど、初健康ランド泊も普通に熟睡できそう……。熟睡でした。