03/03/22 三重県伊勢市

カブ夫に引かれておかげ参り

口を開けまくって寝ていたのと、アルコールのせいで喉が渇いたため、6時に起床。やや斜面にテントを建てたせいか、体が半分銀マットから落ちていました。痛くはないけど、ちょっとだるいかも。

誰も起きてくる気配がないので、一人テントから這い出て自動販売機でお茶を買う。うめー。

寄ってきそうで寄ってこない鳥ども 曇天の下、池のほとりをアヒルに話しかけながら歩くが、通じてないっぽい。
やっぱり。

ぐるぐる歩いていると、昨日隣の炊事場でごはんを食べていたカップルを見かける。別にいかがわしい気持ちがあるわけではないのだけれど、つい避けてしまう。だって、せっかく休日にですよ、ロマンチックに野外でごはんプレイ♥とかなんとか思っていても、隣で無節操に飯を作っては喰いまくり、段ボール箱からビールを出しては飲みまくり、木を拾ってきて折っては燃やしまくるような団体がいたら、そんな目論見はあっさりと露と消えちゃうじゃないですか。もし、わたしがこのカップルの一員であるならば、しばらく野外で寝たい、ごはんを食べたいとは思わない。ノー・モア・キャンピング・プレイですよ、全く。

今日は雨降り予報だけれど、せっかくここまで来ているので、伊勢神宮へ行く所存である。ほんとうは義兄ご推薦の川に行って鰍でも捕獲しようかと思っていたんだけど、雨で流されるのは嫌なので、やめておく。

どうせ雨が降っても春の雨と来たら、濡れて参るのが筋ってもんだ。とばかりに、そのまま出かけようとするわたしに、キャンパーの人がカッパを貸してくれる。このキャンパーの人はなんかしらすごい物持ちで、椅子を三脚持っていたり、大きな鍋を持っていたりする。どうやってバイクに載せているかは謎なんだけど、コツとかあるんだろうか?

しかし、ご親切はありがたいのですが、ユニクロ・エアテックを重ね着している下半身がこの借りたカッパに入らなかったら、女子的羞恥心ゲージはmaxまで到達しちゃいますよ。かといって頑なに拒むのもあれだし……どうするよ?→結果:ゲージは変わらず

下半身=リアルパンツ、ズボン、エアテックパンツ、カッパという春分過ぎた日らしからぬ格好で、9:00、伊勢神宮に向けて出発。23号は路肩も広くていい感じ。所々にある秘宝館のおっちゃんの看板もいかしてるし。しかしながら、リトルご機嫌モードも松阪で終焉を迎える。雨が降ってきましたよ。しかも、大粒系のしっかりとしたところが持ち味の春雨とは言い難い雨。

御薗村の宮田大橋というところまで走り続けるが、ちょうどこの辺りが降り口だった筈だし、カッパの上着も着たいし、ということで23号線から横道へ。畑の横でオレンジ色のライダーカッパを着て、カブ夫ミラーを見る。今のわたし、めちゃめちゃライダーっぽくね?しかも、カブ夫にマッチしてね?

いい気になりながら地図を確認するが、細かい道がよくわからないので、適当に走ってみる。伊勢と言ったら赤福か伊勢神宮なんだから、看板だって出てるじゃろ?闇雲に走れい。

--結果、迷いまくりでした。

それでもなんとか伊勢神宮の外宮に辿り着く。外宮でもいいかと思ったけれど、外宮よりも内宮の方が偉そうっぽいので、更なる探究心を持って内宮を目指すことにする。ビバ★向上心。水滴を垂らしまくりながら混雑する駐車場入り待ちの車の横を通り抜け、内宮入り口近くの駐輪場にカブ夫を停める。

五十鈴川 雨に煙る五十鈴川。
綺麗そうな反面、魚も棲んでなさそうな気がする。
ここでじゃぶじゃぶやったら……取り押さえられるよな、やっぱり。

乗っているときはライダーっぽいよにゃーといい気になれたライダーカッパだけれど、降りてからはちょっと難有りである。すごい色の組み合わせのワッペンみたいなのがついているわけじゃないんだけど、いい年した成人日本人女子がカッパを着て観光地を歩いているという光景にはついぞお目にかかったことがない。しかも、ヘルメットのせいで前頭部はぺったり、首筋付近は外に跳ね、おまけに先っぽはびしょ濡れと来たもんである。最前策としては、ヘルメットを被ったままいけばライダーっぽさをアピールしつつ、かつ髪の毛の問題も解決されるのだけれど、人としてどうかという問題が生じるし……。

悩んだ末、ライダーカッパを着込んだまま、髪の毛はひとつにまとめ、カッパの内側の自分の上着のフードを被るという策を取る。ワタクシハ遠路ハルバルかぶ夫ニ引カレテ参拝ニ参リマシタ。道ヲ開ケヤガレ。

ペア★ルック ペア★ルックだって映えちゃう伊勢神宮。
いや、うらやましいことですよ、ほんと。

伊勢神宮の杉木立 杉の木立がしっとりとした参道を通って本殿に向かう。
よくオカルト系の人が「神社はパワースポットだから、空気が違う」とかなんとか仰りますが、確かに空気が気持ちいいと思う。
だけど、樹木がたくさん生えていて、しかもきっちりと手入れされているようなところの空気が気持ちいいのは当たり前じゃろ?

本殿へ突撃 階段は参拝客で混雑中。
雨なのに、みなさん熱心なことだけれど、どこから集まってきたのだろう?

参拝を終え、近くにあるおはらい横丁でキャンパーの人たちに“赤福”、“てこね寿司”、そして新宮で買い損ねた“めはり寿司”を購入してカブ夫の元に戻り、さて、ひらめく。このフードを被ったままヘルメット被ったら、髪の毛が濡れずに済むじゃないですか。わたしったら、いかしすぎてる。

ひらめきに感動しながら出発しようと内宮側を向くと、“23 終点”の文字が見える。内宮が23号の終点ってこと?もしかして、あのまんま乗ってきたらよかったんですか?自分の地図読みセンスのなさを痛感するも、気を取り直して出発。昔よりは地図が読めるようになってるし。ポジティヴ・シンカーだなー、わたしってば。

ぶるぶるーと進んでしばし、信号待ちでいきなりエンジンが止まる。まあ、なんて言いましょうか、経験者は語るってやつで、わたしはこれがなんであるか知っているわけで。大阪で給油したっきり、全然給油せずに300km程走っているわけで。これすなわち、ガス欠気味。でも、しばらくはもつよな。と、余裕顔でエンジンをかけ直す……また、かかんねえよ。仕方ないので、一旦降りてシートを上げてガソリン残量を確認する。--すわ、エマージェンシー!エマージェンシー!補給ゾーンのいちばん左端を指しているじゃないですか。

見渡してみても、ガソリンスタンドはおろか店らしきものすら目に入らない。雨の中、カブ夫を押して当て所なく歩かねばならない悲惨なシナリオのフラグが立っちゃったのか?のか?オイルコックをリザーブにひねって、もう一度キックする。かかりましたよ、ねいさん!妹は泣きながら雨道を歩くということはしないで済むんですよ!共に喜べ。

止まらないように祈りつつ、走る。欲しいものってのはなかなか見つからないもので、なかなかスタンドは見つからない。あうー。どきどきした末、やっと見つけたスタンドで給油。3.8l入りました、残量0.2lですよ?もう、今度こそはちゃんとガソリン量を確認しよう。多分、また忘れるけど。

夕方になり、最後のキャンパーが車で到着。彼が着くなり、わらわらと4人乗り込んで、本日何度目かの買出し&温泉へ行く。

連れて行ってもらったのは、農協が経営しているさつき温泉というわかりにくいところにある温泉。さして広くもない湯船に入ろうと洗い場から向かって行くのだけれど、一面鏡張りになっているのがなんか嫌な感じである。こう、普段直視できない己が肉体の現実をまざまざと見せられるってのがどうも……。

(帰ってきて、検索かけてみたら、あの鏡張りと思われていた部分は昼間は窓として外が見られるようになっていた。つまり、マジックミラーってことですか?マイ肉体が盗撮とかされて、“たるんだ果実--腐りかけの肉を召し上がれ”みたいなタイトルつけられて、ネットとかで流通されたらどうするよ?せめてキワモノ路線だけは避けたい。すごく避けたい。)

老婆の波をかき分けて温まっていると、隣で温まっていた数少ない30代くらいのねいさんがすっくと立ち上がる。じろじろ見ちゃいけませんとは思いつつも、自分とは違うその肉の少ない体を見てしまう。
ねいさんはそのまま上がるでもなく、いきなりがばっと脚を広げて湯舟に坐り直し、ストレッチをお始めになる。うわー、目が離せねえ。今度は立ち上がり、脚を開いたまま鏡に向かって前屈を……前屈を始めるのだけれど、お尻がこちらに向いているとですね、ねいさんは肉が薄いためですね、いろいろと見えてしまうのですよ。生かつ無修正はいかんですよ。生は。

すっかり当てられた気分でキャンプ場に戻る。

燃えろよ燃えろ状態 炊事場の灯りは20時には消灯されてしまう。
あとはこの火か、ランタンあるいはキャンパーの人たちのヘッドライトのみが頼りになるのである。
火を囲んで散々暴飲暴食した後には、一キャンパーに捕まり、最後まで火の番をして4:30に就寝したのでありました。

今日の感想:湯船でのストレッチ厳禁。