2002/11/02 和歌山県本宮町・川湯キャンプ

公共工事教布教の会。

初めてのキャンプで眠れなかったらどうしようという心配は無駄だった。おかあさん、娘は外でも平気で眠れる女だったのです。

寝るときは8人しかいなかった筈のキャンプ場なのに、なんだかざわざわすると外に出てみると、新しくやってきた人たちがテントを張っている音だった。あんたら家族は一体何時に家を出たですか?

ほんとはこの川湯温泉にはこの1泊だけで、今日は本州最南端の串本町に泊まる予定だったのだけれど、今日の夜がもっと盛り上がると勧められるままに連泊を決意してしまった。テントは置いたまま、熊野大社に向かうことにする。晴れているのでスニーカーを履きたいのだが、乾いていないため、足元は長靴のまま。一応今日はジーンズの裾で隠してみた。ちなみに、この長靴は日本一周の人も持っているブランドで(本人が言っていた)、「Junkel(ユンケル)」というものらしい。いや、あの、ホームセンターで680円だっただけなんですけど……。

かっぽかっぽと長靴で熊野大社参り。まずは参道で1枚。とカメラを構えたら、勢い余って左眼直撃。その衝撃で左眼のレンズが飛ぶ。まじですか?熊野さんはミーに意地悪をするですか?視力が0.1もないので、レンズのあるなしは死活問題に関わるのである。しかも、自分でカブ夫を運転しなきゃならないわけだし。

ここのレンズは俺のもの 小一時間砂利の上や自分の服を探しても見つからないので、とりあえず先に神頼みをしに行くことにする。
どうかアタイのレンズを返してください。
求む、今すぐの御利益。

帰りに見ても見つからなかったので、眼鏡を取りにテントへ戻ろうとカブ夫に跨り進んでみると、案外右眼中心で物を見ることができる(利き目は左眼なんだけど)ことを発見し、そのまま行っちゃうことに決定。Uターンして熊野大社の駐車場に戻り、旧社跡を見に行くことにする。と、ここでキャンパーズネーム女子殿とそのお仲間殿に会う。これからお札を納めに参るらしい。伊勢神宮のお札も持っていて、それはもう4年くらい持ち続けているとか。行動範囲広いよなー。

裏側から見た鳥居 やたらとトンビがぴーひょろろと飛んでいる田んぼの間の道の先に、異様に大きな鳥居が見える。
あそこが旧社跡地らしい。
杉の道を抜けると、小さな祠があるばかりの場所だけれど、レンズなくした新社よりもこっちのがいいな。
階段もないし。
なくす左レンズもないし。

一通りぐるっと回ってから河原の方に出る。長靴なのでちょっと川に入ってみたりしながら、岩に腰掛けてぼぅっとすることしばし。

家が何軒も建ちそうな河原 しかし、河原が広いよな。
この辺の河原って広すぎるくらい広い。
わたしの知っている川といえば、土手・川・土手とか、土手・コンクリート・川・コンクリート・土手といった感じで、こんなに小石がごろごろしている川って、TVでしか見たことないんじゃなかろうか?
底も泥系じゃなくって、小石系の綺麗な川だ。
うちのバカ犬を連れてきたら、きっと喜んでじゃぶじゃぶ川流れするに違いない。

立ち上がると、カメラを持ち歩くスーツ姿のおっちゃんがいるので、一応挨拶をする。そこに停まっている京都ナンバーの車で来たんだろう。

「どこから来たんだね?」
「大阪からです」
「大阪から来る人は多いね。熊野信仰かい?」
「いや、あの、キャンプをしに」
「何で来たんだい?」
「あの、バイクで」
「どうやって来たんだい?」
「え、自分で運転して」
「いや、じゃなくて道は何で?」
「168号線を……」

単なる世間話のスローなペースではなく、おっちゃんは面接官の如く質問を投げかけてくる。職務質問ですか?わたしが怪しいですか?

「168号線はあれで幹線道路なんだよ。どう思った?」
「狭いとことかあって、車だったら怖いですよね」
「そうなんだよ。仕事は何してるんだい?」
「事務員を…」
「何の?」
「特許の…」
「大阪に帰ったら、公共工事が大事だってことをみんなに広めておいて」
「はぁ…」
「こういうところこそ、公共工事が大事なんだよ。そう思わないかい?」
「ですよねぇ」
「よろしく頼むよ」

ということで、おっちゃん、公共工事が大事だということを書いてみましたよ。

小栗判官? 小栗判官蘇生の地とあるけれど、寡聞にして小栗判官を知らないのです。
家に帰ってからググってみても、やっぱり知らない人だった。
最初見たときは、「生みの母と育ての母に子どもの手を引っ張らせた人だ!」と思ったんだけど……。

湯峰温泉辺りをぷらぷらしてから、ビール6缶パックを購入してキャンプ場に帰ると、夜にごはんを食べた場所でみなさん集まってはお食事&飲酒中。ちょっとでも見知った顔がいるって、なんか安心する。引きこもりッ子なわたしも、結構人恋しいのかも。

というわけで、昼からわたしも飲酒をしたのである。

夜になると、さらに後発隊のお仲間が増えて、何人だかわからない状態に。主に関西圏の人が多いようだけれども、静岡の人や東京の人も来ている。みんな北海道繋がりで、やっぱりみんな新しい人を気にしないこだわりのなさなんである。懐深すぎる。

そうやって夜も更けた頃、女子4名・男子4名で仙人風呂に再チャレンジ→やっぱり閉まっていたので、昨夜の風呂へ入ってみたところ、ぬるい。すごぅくぬるい。先にカップルが入っていたけれど、きっと異常に我慢していたに違いない。

あまり温まらないまま、就寝。やはり今夜も熟睡。

特筆点:公共工事は大切。
    カメラと顔の間合いは大切。