02/10/20 滋賀県信楽町・奈良県山添村
プレキャンプ中止で狸と雨に遭う。
11月頭の連休にはロングツーリングに出ようと心に決めたわたし。ちょうど和歌山の川湯温泉というところで、「1000人入っても大丈夫」な仙人風呂が入浴可能な期間になるらしい。これは行ってみねば。この際、ユースホステルなんかに泊まっちゃって、ミーティングとかに参加して白いギターに合わせてペチカとかうたったりして、ペアレンツさんに「また帰って来まッす」なんて言ってみたいにゃー(ユースホステルバイト歴のあるイクコ様にこの考えは間違いだと正された)と予約の電話を入れてみたら……もうすでにいっぱいでした。やっぱりみんな考えることは似たような感じなんだよな。
民宿に電話してもすでにいっぱい。駄目だと思うと、どうしても行きたくなるのが人情である。「宿が駄目ならテントに泊まればいいのよ」とマリー・アントワネットの啓示が下されたため、早速テント&シュラフを購入する運びと相成った。基準は安くて簡単なやつ。高いの買って飽きたら困るし、軟弱なお泊りしかしないだろうし。
キャンプ初心者がいきなり野営してもあれなので、まずはプレ・キャンプで体を慣らしておかねばなるまい。
ということで、どこかに野営するつもりだったのだけれど……生憎の雨&風邪の治りかけ体調。プレは中止。
翌日日曜。朝起きてみると、うっすらと東の空が晴れていたので家を出ることに。目指すは狸の里・信楽である。
信楽は国道307号線沿い。うちからは大きい道を通って行けばすんなりと出られる筈なのだけれど、大きい道はトラックが多くて怖いということを身をもって知ったため、なるべく府道等を選んで走ることにした。307号線のある枚方付近までは順調に来たのだけれど、府道18号線付近でひたすら迷う。坂道を登っては行き止まり、ぐるぐる回っては行き止まり。やたらと成田山の表示を見かけるのだが、成田山は千葉じゃろ?なにかの陰謀ですか?
仕方ないので、国道1号線に出る。国道。しかも1号。このまま走っていったら東京まで行っちゃうんだよなー。行かないけど。
そこから307号線へ。後は一本道(こういう風に国道は一本道だと思い込んでいるところに迷子の可能性が含まれているのだと思う)。関西ツーリングマップルでもお薦めの印がついていたし、ネットで調べても結構好評な道だった筈なのに、なんか走りづらい。トラックなんかが走るためか、轍が残っているし、路肩付近がぼこぼこしてるし。
なんか、なんかだな……と走りつづけるのだけれど、あまり楽しくない。どこかに進路変更しようかと、道沿いの神社に停車して、しばし地図を眺める。ふむぅ。とりあえず、狸の置物だけはゲットした後、府道に入って再びめえめえ牧場にでも行こうかしらん。前の写真、失敗しちゃってたし(前回の京北町で感光させてしまったのです)。と考えをまとめた後、ものすごい咳に見舞われてぜいぜい言いながら、咳をする。そうすると口の中が気持ち悪くなり、普段は絶対にしないことなのに行儀悪くも土の上に唾を吐いてしまった。
……ここ、神社の敷地じゃん。
道端に唾を吐くこと自体よからぬことなのに、さらに駄目押しで神様の土地ときてる。心の中でごめんなさいを連呼するのだけれど気持ちが晴れない上に、ふと看板を見ると、この神社は交通安全にご利益があると書いてある。嫌だな……。

とりあえず、安全運転で進む。
道端で売っている草もちと梅干を買った後、狸の一輪挿しもゲット。
誰かに嫌がらせであげたい逸品である。

その後、順調に府道を進む。
対向車やバスに道を譲って挨拶なんかされてしまうと、ちょっといい気になってしまう。
しかし、この府道でやたらとこの看板を見かけたんだけど、これって一体何なんだろう?
地元民以外にはわからなそうな感じがそそる。
府道も終わり、以前にも来た国道163号線を軽快に走る。前回のあの暑い晴天とは打って変わっての曇り空。あまり川の景色を見ることもせず、ひたすらスピードを上げるのに没頭する。抜くなら抜いてみやがれ?とアクセル全開にしても、結局は抜かれるので、抜かれた後には「こんな道で60km以上出すなんて」と心の中で非難してみたりする。つーか、60km出しちゃ駄目だろう→自分。

2回目のめえめえ牧場&鍋倉渓はさくっと辿りつけた。
が、辿りついたら小雨降り。
あーうー、帰らねば。
トイレ休憩だけをさくっと済ませて、来た道をひた走る。雨は滑るから注意しなくちゃ、と思いつつもスピードは結構出ている。少なくとも前回よりは格段に速い。軍手でシールドを拭き拭き走る。結構雨足が強まっている気がするので、一度停車して、ヒップバッグを荷台に括りつけると、上着に溜まった水がぱしゃっとはねた。……なんか悲惨な気分。道々に高市早苗の笑っているポスターが貼ってあるのを見ては、「笑うくらいならカッパを売れ」と難癖をつけてみたりする。
最後の山道に入る。細めで暗い道。カーブミラーを見ながら進むのだけれど、濡れたジーンズが寒いわ、咳が出るわ、とにかく帰りたい気持ちでいっぱい。こんな「山道+見通し悪し+濡れた路面+焦る気持ち」が融合すると、結果、事故が起こるという典型的なパターンなのだけれど、やはり例にもれず、転びました。
対向車が見えてなかったんだと思う。それで焦ってハンドルを切ったのだと思う。大げさに転んで目を開けたら、車からおっちゃんが飛び出してきたのが見えて、「大丈夫か?」と訊かれ「大丈夫です」と答えた後に、声が出ました。ぐええぇぇ。いや、一瞬息が止まった。
「女の子が危ないで。もうちょっとで当たるとこやったで。端っこでちょっと休んでから、気つけて帰り」とおっちゃんがカブ夫を端っこに寄せてくれるのに、わたしはとぼとぼと着いて行くばかり。「すみませんでした」
おっちゃんが去った後、カブ夫を眺めてみる。カゴは変形している。左のステップのゴムがすれて、ちょっと取れてる。道路を見たら、金属で引っかいたような跡が残ってるし。左のミラーがひん曲がっていたけれど、ぐるぐると回したら直ってしまった。それ以外は異状なし。自分を見る。右の膝に茶色い染みがあるのは、多分すりむいているから。そこと左肩が痛い以外はなんともなし。自爆の興奮で脳から変な汁が出ていて、今はなんとも感じていないのかもしれないけれど、目立った異状はなにもなし。よかった。
まず、おっちゃんの車に当たらなくてよかった。いきなり滑ってくる原付に当たったら、おっちゃんもかなりの災難である。自分が無事でよかった。カブ夫が壊れてなくてよかった。ここが崖じゃなくてよかった。
とにもかくにもよかったと安心して、とろとろと県道を後にした。163号線に戻って、雨と車に注意しつつもやはり気持ちはちょっと急いている。前回トラックで怖い思いをしたトンネルを通るが、今回はそれほどでもなく通ってしまう。早く帰りたい気持ちでアクセル全開にすると、60km超え→失速→60km超え→失速をカブ夫が繰り返す。壊れた?と一瞬どきどきするが、これって恐らくリミッターが効いている状態ってやつなんじゃなかろうか?なんにせよ、60km超えたらいけません。というか、30km超えちゃいけないんだった。
信号で止まってしばらくすると、やけに車体が静かになる。?……エンジンが止まってるのか。掛け直してまた走る。信号で止まる。エンジンが止まる。掛け直して走る。信号で止まる。エンジンが止まる。掛け直せない。
歩道の方に引きずって何度も掛けなおすが、かからない。故障ですか?転んだからですか?なんか漏れちゃったですか?とりあえず、シートを上げてガソリンを確認すると、補給ゾーンに入っている。このせいかなあ?
ちょっと先にセルフのスタンドがあったので、押しながら持っていって、初めてのセルフ補給。おつりはカードでのみで、700円くらい余っている。このスタンド、また来なくちゃいけないよな。
また端っこに移動して、カブ夫を観察する。前のレッグシールドに、ピンク色の汁が付いているのを発見。これが不調の原因なんだろうか?一瞬色めき立つが、なんてことない、カゴに入っていた梅干の汁がかかっていただけだった。
この後はすんなりエンジンもかかり、無事家に到着。雨で濡れたカブ夫をよく拭いて、カバーをかけてまた今度。