04/05/22 大見尾根・旧花背峠

春の一人林道祭。

先週の奈良遠乗りで川と山のよさを再確認してきた88ccの実力を持つステキ★マシーン黄嶋カブ夫&わたくしチームは、今週は京都を目指すことに決定したのであります。悪魔に魂を売った代わりにすぐに止まるエンジン&ハイオクじゃなけりゃ満足できないカブ夫のわがままボディはいささか心配の種ではあるけれど、まあ、要は止まっちゃったら邪魔にならないところにそっと置いて帰ってくればいいだけの話である。放置プレイもひとつの愛の形。行くなりよ、京都。ということで、朝6:45に家を出発。一路、京都は鞍馬に向かったのであります。

ちょうど1年前、貴船神社に向かったときはR171→R1→堀川通という曲がり角少な目、いわば王道コースを辿ったのだが、カブ夫に乗り出し早2年半超、そろそろひねりを効かせたいお年頃なわたしはR171から西大路通、北大路通を経てr38に合流するというぐるっとルートを選択することにする。ルート選択できちゃうところが渋いよにゃー。多分、その内「京都?ああ、庭みたいなもんっすよ」とかなんとか自信ありげに言うこと間違いなしだね。

自画自賛しながら西大路通走る。朝8:30という時間帯は、結構車通りが多いのが難である。いちばん左端は7時から9時までは二輪・タクシー・バス専用道路となっているようなのだけれども、京都の皆さんにはあまり関係ないらしい。まあ、他府県民のわたくしですから、文句は言いますまい。しかしながら、タクシーの方。いきなり道路の真ん中に停車するのもあれですが、その勢いでバックしてくるのはやめてくださいますかね?あちらも「原付、うざい」と思っていそうだが、ほんと、タクシーの予測不可能っぷりは恐ろしい。

マイ庭・京都故に道を誤ることもなく、順調に鞍馬に通じる道を進んでいると、見覚えのある風景が出てきた。これは、つい最近放送された「どうでしょうリターンズ」に出てきた風景じゃなかろうか?折しもサンテレビでは「原付西日本制覇」が数週間前から始まっていて、そのスタートが金閣寺だったのだ。そうか、大泉さんたちは金閣寺を出て、r38→R477と進んでいったのか。納得しつつ、きゅっきゅっきゅっとカブ夫は軽快に山道を登っていく。1年前とは違い、カブ夫さんってばやるですよ。山道登りますですよ。いや、緑は綺麗だし、カブ夫は頑張るし、左京区サイコー。あ…ここに住んでいたら、天狗様も区民様なのか。奥深いですなー、京都。

人生に行き詰るカブ夫さん 百井峠を攻めて、一服するカブ夫氏。
というか、道を間違えた。
というか、なんでこんな道に突入しようと思えるのか、謎である。

さて、今日の目的は去年行けなかった旧花背峠の道を通ること、ついでに大見尾根なんかにも行ってみちゃうことである。まずは「ヌタ場多し」とツーリングマップルさんに書かれた大見尾根から攻めてみたい。しかも、大見の集落は廃墟の多い、いわば廃村状態の集落なのだとか。ちょっと胸がわくわくしね?

しかし、「ヌタ場」なる言葉は、わたしの深遠なるボキャブラリーを探ってみても見つからないのだけれど(帰ってきてからぐぐってみたところ、「発情期のオスが転げまわって泥浴びをする場所で、ぬかるんだ泥場」だとか「イノシシがダニなどを落とす泥浴び場のことである。いわゆる人間でいうところの「風呂」と、思えばいい。」だとかの場所だということが判明。泥浴び場なのか…。)、それは一体どんなところなんだろうか?

レッツ★大見尾根 入口は急坂舗装路。
時折、溝が開いている。
結構、危険。
舗装路が終わると、次はいわゆるダートの道になる。

昨日くらいまで台風が近づいているとかで雨が降っていたため、水たまりが各所にあった。いつもの調子でなにも考えずに突入すると、ずぶずぶとカブ夫選手のタイヤが埋まる感触がある。うわ、怖え。1速にして慎重に水たまりを渡る。なんとかいける。本当なら水たまりを避けたいのだけれど、避けると泥が盛り上がっているところに突っ込んでしまうし、どうしたもんか思案するために足を着くと足が泥に埋まってしまいかねない。ああ、もしかして、これがヌタ場ってやつですか?得心が行く間もなく、何個目かの水たまりで、今度はカブ夫のタイヤが完全に泥に…ああ、これがスタックしたってやつですね、スタックしたってやつ。そんなときは、どうしたらいいんだろう?

ここまでどろどろでなくても 左側の溝にはまる。
さらに左は林の斜面。
行ったら、落ちる。多分、スヌ。

とにもかくにも、足を着く。足がぐにゅっと泥に埋まる。水が滲みてくる。1速でアクセルを回す。カブ夫頑張る。動かない。また闇雲に回す。カブ夫頑張る。動か…ういぃぃんとすごい音を立てながら泥から抜け出すことに成功するが、勢い余ってそのまま林の中に突撃ってことにもなりかねない。ねいさん、妹は想像以上に大変な場所に足を踏み入れてしまった模様です。

戻ることもままならないのでとりあえず進むと、今度は石ころがごろごろの道が登場。これは、ガレってやつですよ。ガレ、ガレ。「いやー、そこがガレガレのダートでさー」ってな具合にオフ車に乗る人が嬉しそうに語る道ですよ。やはり戻ることもできないので、また1速で進む。土曜だっていうのに、一体、わたしは何をしてるんだろう。旅行に出たら言う常套句があるじゃないですか、家がいちばんってやつ。まさに今、それを言いたい。家がいちばんだ。畳の上で背泳ぎしてるのがいちばんいいですよ。

モリアオガエル池 これは……水たまりの域を超えてるのでは……?
浮いたタイヤの上を進むのか?
右の土手を進む。
左に落ちたら、お笑いウルトラクイズ並の泥んこボディになること必須である。

ほとほと疲れてきたので、土手の中央で、自分の過去、そして未来について模索してみる。まず、ここで戻るにしても、またあの泥だらけの水たまりを通らなくちゃならない上、石ころの道を下らなければならない。それは、嫌だ。すごぅく嫌だ。このまま進んでいくと、一応、大見の集落には出るように書かれているのだけれど、本当に着くのかは不明である。わたしの地図読み能力からすると、今の道が間違ってる可能性だって大ありだ。もう、廃墟なんてどうでもいいっす。命あっての物種っす。もう、にっちもさっちも行きやしねえっす。

カエル予備軍が泡の中 目に青葉 モリアオガエル 初タマゴ
生まれて初めて見る生卵である。
下の水たまり、というか池にはモリアオおたまじゃくしがうじゃうじゃ。
捕獲すべきか?

漢をあげたカブ夫選手 一仕事終えて、カブ夫は勿論、泥だらけ。
何故かヘルメットまで泥が付いていた。

ヌタっていたのは、この近辺くらいまでらしい。今度はガレった下り道が続く。ガレている上に轍が深くあったり、水が流れてちょっとした小川状態だったり、ハイカーさんご満悦の自然堪能ルートになっている。わたしだって、この初夏の爽やかな山の風景をじっくり楽しみたいのですけれど、そんな余裕があるわけはなく。1速のエンジンブレーキだけではなく、左足スニーカーブレーキ、右足フットブレーキと多用しつつ進むことになる。がくがく揺れるカブ夫の前輪を押さえつけるため、これ以上はないってくらい、肩に力を入れる。

肩の力とは反比例して、心はどんどんくじけていく。もう、腕痛いです。帰りたいです。山の神様か誰かが出てきて助けてくれないだろうか?でも、山の神様は女子だっていうしな。女子同士の助け合いなんて、利害関係がなけりゃ当てにできなさそうだし。左京区在住の天狗だとか、なんか得体の知れないものとか出てきたらどうすっぺ?鞍馬って天狗の名所じゃないですか。捧げものとかでお酒あたりを忍ばせてくればよかった…。

自分の用意の悪さを反省しながら、段差を乗り越えて下り続けると、林の中に軽自動車が止まっているのが見えた。放置車両かしらん?だけど、ナンバーもついてるし、車体も綺麗そうだ。ということは、車が上がってこようと思うだけの道がここからは続いているということ。ゴールは近い。その直後、今度は鉄板でできた橋が出てくる。これは、明らかに人の手が加わっている証拠。しかも、電柱が生えていますよ、にょきっと。完全に人里近いってことじゃないですか。こんなところにまで電柱を作る関西電力様を、わたしは今猛烈にお慕い申しております。素晴らしいじゃないですか。電柱。更に進むと、今度はうち捨てられた感のある鳥居が見えてきた。これは、人里近い…というか、ちょっと怖い。

人気なし 1時間ぶりのアスファルトの感触を楽しむカブ夫さん。
妙に静かな人里。
どうやら、ここが大見の集落らしい。

廃村だと思っていたけど、新しめの家もある。手入れされている畑もある。が、人気はない。

しんとした集落に長居するのもあれなので、エンジンを休めることなく、元の道に戻るべく先を急ぐ。さっきまでのがくがく道を考えると、アスファルトっていうのは、こう…すげえね。タイヤがころころ転がるのに適した素材っていうか…道路公団様もお慕い申し上げちゃいますよ。

ぐるっと道路を降りていくと、「北山修道院」という案内板が出てきたので、そちら方面に向かってみることにする。鞍馬から百井峠に登るr38でも北山修道院に向かう分岐があったし、一説によると、この修道院は「ノルウェイの森」での直子の静養先のモデルになっているとかなんとか小耳に挟んだことがある。--まあ、実物とイメージが違うってことは、ままあることだよな。

満身創痍でもまだやるなりよ 入り口にバス停ありの旧花背峠。
大見尾根でおなかいっぱいではあるが、とりあえず進入開始。

バス停側から入っていくと、しばらく舗装された坂道が続く。舗装路なんて、もう余裕っすよ?と慢心しそうになるけれど、騙されちゃいけない。さっきの大見尾根だって、最初は舗装路だったのだ。舗装路が終わると、今度は小さめ石ころのダートになる。小さな祠を中心に三叉路になっていて、一つがわたしの登ってきた別所方面に向かう道。一つが鞍馬に向かう道。これはr38を登るときに、入り口があるのを見た。案内板には書かれていないけれど、残りが貴船神社方面に向かう道だろうってことで、そちらに向かう。ちょっとした登りではあるけれど、フラットなダートってやつですよ。フラットな。舗装路もいいけれど、フラットもサイコーっすよ。

恐竜時代… じめじめした旧花背峠の林道には、でかいシダが生えている。
シダとかゼンマイの葉っぱは、恐竜がいた時代を思わせる感じ。
ラブ♥恐竜

この大きなシダとか道の感じに見覚えはあるのだけれど、去年通った道かどうかとなると、ちょっと定かではない。分岐があるわけでなし、間違えそうにないんだけどにゃー。疑問を抱えつつ進んでいくと、ついには林道が終わってしまう。あ……。ここ、見たわ。

去年は舗装路の方、分岐を左手に進んでいったのである。今年降りてきたのは右のダートから。つまり、初っ端から間違えていたのである。そりゃ、たどりつかない筈ですわ。

時刻は13:30。まだまだ余裕のある時間だけれど、わたしの気持ちはいっぱいいっぱいである。この後日置林道に行ってみようなんて考えた昨日の自分は、なんて浅はかな人間だったんだろうか。

ビッグにになることを北山杉に誓う吉田カブ作 帰宅の途に着くべく、r361を貴船神社とは逆に上に上がり、R477に入る。恐らく、距離的にはr361を下って京都市内に出て、そこからR171を通るのが近いのだろうけれど、混んでるのは嫌なのですよ。予想通り、山道はすーいすいでありました。

反省点:林道に長ブーツは必要。