03/05/05 大分県別府市
泥湯、サイコーですか。
九州最終朝は、やっぱり洗い物で始まるのである。洗い場のところにコーナン・オリジナル洗剤を置いていていたら、あっという間に誰かに持っていかれたのでややご立腹だったけど、帰る日となっては持ち帰る手間が省けて万歳したいくらいだ。……いや、持っていったら気づいて返せよ。
食器を洗い、缶を踏みつけ、ゴミをまとめて、テントも撤収する。人がつけてるのを見て欲しくなってしまったというのが箱購入のいちばんの理由だけれど、第2の理由として、帰りは箱ごと宅配便で送って身軽に帰ることができるってのがある。みんなが朝ごはんを食べている間に、近くのコンビニに行き、ひとまず荷物を送付。これで手持ち荷物は、フェリー1泊分の着替え&入りきらなかった銀マットのみとなった。銀マットさえなければ、かなり地元車系のカブ夫さんである。
だらーっとせずに、原付キャンパーが荷物をくくりつけるのを待って出発。人を見送るのってなんか寂しいけど、人から見送られるのはまだ「行くなりよ!」気分になれる。国道まで一緒に走って、そこのコンビニのところで原付キャンパーと右と左に分かれる。彼の休みはもうちょっと続いて、あと1週間は九州にいて山登りを楽しむそうだ。
1度信号でいつものガス欠エンジン・ストップをやってから給油し、昨日と同じルートからやまなみハイウェイに入る。“景色のいいところ”から2回も阿蘇五岳を見たから別にいいかなー、と思っていたのだが、大阪キャンパー2に「阿蘇に来て大観峰に行かないのは、阿蘇に来たとは言われへん」と言われたため、大観峰に針路を取る。わたしってば、きちんと言いつけ守りッ子ですなー。
大観峰の駐車場辺りは、なにかのバザールかと思うくらいにずらっとハーレー&バイクが並んでいた。なるほど、バイク乗りであるところの大阪キャンパー2の主張もさもありなん。ずらっと並んでいるということは、ほぼ1台につき1人の運転手がいるということで、彼らもまたずらっと並んでそれぞれのバイクの品評会が開かれていたりするのである。山の上で、こんな異次元ワールドが繰り広げられているとは知らなんだ。
勿論、観光地故に普通の観光客の人もいるわけで、しかも連休最終日。いわゆるごった返し状態になりつつある大観峰である。お茶を飲み飲み大観峰の先っちょまで行き、ちょこっと景色を見て、再出発。やっぱり、人がたくさんいるところって好きじゃない。
身軽になったカブ夫さんは、銀マットを輝かせながら颯爽と進む。途中、車に轢かれた動物にナムーと唱えたりしつつ、昼頃には湯布院に到着する。湯布院もまた観光地なので、避けた方がいい場所の一つだ。原付キャンパーが言うには、国道よりも県道を走った方がいいとのことなので、素直にそれに従う。のどかだにゃー。
何車線かある元有料道路っぽい道路の横の山の景色を見ながら、路肩に停めようかな、でもあんまりスペースないよな、と思っている内に、別府に着いてしまった。ふむぅ。今の時刻は13時。フェリーの時間は19時。手続の時間を考えても早すぎるよな。
空いた時間は温泉で埋めよう。ということで、ツーリングマップルさんと相談。ほんとうはずっと地獄巡りをしてみたかったのだけれど、キャンパーの人たちが口を揃えて行くなというので、その迫力に気おされてその案は却下されている。どこ行くかなー。泥湯ってのに行ってみよう。そういや、東京キャンパーの人がやたらと「ミョウバンオンセン・ドロユ、ミョウバンオンセン・ドロユ」と連呼していたっけ。彼は泥湯には行ったんだろうか?
ちょっと山側に戻り、別府温泉保養ランドに入ることに決める。結構大きな駐車場に昔のホテルみたいな感じの建物が建っているけれど、ややひっそりとした感じだ。時間帯が悪いのかもしれないけれど、やってんのかな。車やバイクもそこそこ停まっているからやってるんだろうけど……。
銀マット以外の荷物を持ち、中に入る。入浴料1,050円也。お湯近くのロッカーが満杯かもしれないので、入口付近のロッカーをご利用くださいと言われるくらいだから、実はすごく混んでいるのかもしれない。
やたらと外国と親善してます風の怪しげなポスターのある館内を抜け、渡り廊下を通り、お風呂間近の休憩所に入る。畳敷きの広い部屋は、やっぱり昔っぽい雰囲気だ。奥の売店にいるおっちゃんにチケットを渡し、いざ泥湯へ。
女湯の戸を開けると、脱衣スペースがある。ここの脱衣スペースもやっぱり申し訳程度な感じで、コロイド湯(コロイド硫黄を含んでいて、美白に効果があるのだとか)から丸見えである。もう慣れたけど。服を脱いだら、まずコロイドでかけ湯して、階段を通って半地下の泥湯へ向かう。ここ、泥湯が混浴って書いてあった気がしたんだけど、入口が別々なだけで階段を下りたら混浴になっているんだろうか?そんな警戒心もあったので、いつになくタオルできっちりと体を押さえて下に行くと、そこには魅惑の泥湯ワールドが広がっていた。
四角い大き目の浴槽には掴まりバーみたいなのが配されていて、何組かのおばあちゃんと若い娘さんが1組ほど入浴中。奥には簡単なシャワースペースがあり、左側の壁付近からはぽこぽこ泥が涌いている。これが、泥湯。きょろきょろしながらゆっくりとお湯に入る。シャワースペースの前付近の湯船に、「サイコーですかー?」の福永法源みたいな顔をしたおっちゃんが浸かっているんだけど、ここってやっぱり混浴なのかなー。他は全部女の人なんだけど……。
福永法源にばかり気を取られていたら、湯船の中の段差に気づかず、転びました、派手に。なんとか顔は浸からずに済んだけれど、きっちりと体に当てていたタオルはどろどろである。もう、これしかタオルないのに。あっけに取られていたおばあちゃん衆ではあったが、「大丈夫?」「うまく転んだな」等の声をかけてくれるので、わたしも薄笑いで「サイコーのバランスで頑張りました」と答える。ちょっと足先を擦ったっぽいけど、大丈夫そうだし。何よりも福永法源が気になって仕方ない。
おばあちゃん衆が言うには、昔に比べてかなり泥が少なくなったとのことである。確かに、お尻の辺りにちょっとふわふわと積もっているくらいである。想像じゃ底なし沼級の深い泥がある筈だったんだけど。
ショックからも立ち直り、福永法源が湯船から上がるところを見届け(おばあちゃんだった)、わたしも上がることにする。湯船から上がるときには、丹念に自分の体から泥をこそげ落とさないと、おばあちゃん衆からクレームがつくので要注意だ。若い娘さんが注意されていたのを見ていたので、必要以上に体をこすりまくって出て、シャワーを浴びる。ついでにタオルも揉みだしとく。なかなか泥落ちねえね。
福永法源がおばあちゃんとわかったので、今度は絞ったタオル片手にコロイド湯へ。美白に効果があると言われては、わたしも黙っていられません。この連休中に溜まりまくったメラニン色素を落とすべく、体に充分コロイドを染み込ませるであります。--程ほどにしよう。
朝に牛乳を飲んだきりだったので、風呂上りに売店で温泉卵&豆腐アイスを購入する。この組合せもどうかと思うが、ここで売っている固形のものがそれだけだったので致し方あるまい。両者ともそれなりのお味。壁に寄りかかりながら、同じフェリーに乗る予定の大阪キャンパー2にメールを送る。彼らは今、ガンジーファームでお昼を食べて、これから出るとのこと。フェリーの手続はもうちょっと待つようにって、何でなんだろう?他の4人が二等寝台だって言うから、わたしもキャンセル待ちで二等→二等寝台にグレードアップを狙っていたんだけど……。
敢えて逆らって手続することでもないので、畳に横になり、まったりしながら……1時間程眠る。温泉に入ってこんな風にぐったりと寝たのって、初めてかもしれない。あの泥湯の濃いぃ成分のせいなのか、はたまたテント生活の不摂生がここになって出てきたのか。だるーっと外に出ると、夏の午後の日差しが照りつける。まだ5月なりたてなのに。それに、わたし、なんか泥湯臭い。

今はちょうど先の便の乗船時間らしい。
ぼんやりと乗船の様子を日陰で眺める。
これから11時間の長旅。
それで休みも終わっちゃうんだもんな。
ぼんやりしているのもあれなので、すっかり人もはけたフェリー乗り場の待合所に向かい、必要事項などを紙に記入しつつ、大阪キャンパー2にメールを送る。なんでわたしは先に受付を済ませちゃいけないですか?ちょっとして、大阪キャンパー2から電話が来た。彼らが二等寝台だって思っていたのはわたしの勘違いで、みんな二等らしい。一緒に受付をすれば、まとめて場所を取ってくれるので都合がいいとのこと。なるほど。
彼らは竹瓦温泉に入るつもりでいたのだが、混んでいて1時間待ちなので、かっぱの湯で合流して、それからフェリーの中で食べるものを買いにスーパーに行く。勿論、買い出し部長の活躍が光るわけなのだけれども、お買い物カゴにも荷物掛けフックにもスーパーの袋下げてフェリーに乗るのって、なんかすごく場違いな気がするです。
フェリーに乗り、再度風呂。乗車直後に入浴したい人たちで、脱衣所はサウナ状態、浴室は芋洗い状態の修羅場である。なんとか修羅場を潜り抜けて、二等船室に戻る。低いロッカーで区切った向こうは、少年スポーツ団ご一行様で占められていて、今がちょうど晩ごはんどきらしい。ごはんを食べているときは静かな少年団を背に、わたしたちも晩ごはん、ビールで乾杯しつつ、鯖の刺身などを食べる。うまいっす。
ここに来てどっと疲れが出てしまったので、23時頃、一足お先に就寝。フェリー二等船室でもぐっすりと眠れるわたしなのでした。